こんにちは、静岡県函南町のARAKAWA(荒川時計店)の1級時計修理技能士です。
今日はちょっと真面目に…いや、やっぱりふざけつつ真面目に書かせていただきます。
今回は、Meijiの激シブな掛け時計”の修理のご依頼をいただきました。
年季入りすぎて、もはやタイムスリップしてきたんじゃないかと思うくらいの一品。
しかも状態が…うーん……動かないし、部品ないし、情報もないし”の三重苦。

見た目は綺麗そうに見えていますが・・・
文字盤外してムーブメント部分は傷みが・・・
🔧それでも、なんとかして動かしたい。
もちろん、「部品がないから無理です」と簡単にお返しすることもできます。
でも、私たちは時計修理技能士1級の資格を持つ修理士として、“どうしたら直せるか”を常に考えています。
そこで今回の修理では、
🔹似た形状・機能を持つ部品を探し出し
🔹加工・調整・研磨を重ねてフィットさせ
🔹一つひとつの歯車の噛み合わせを丁寧に調整しながら…
まさに手作業の限界に挑むような修理を進めています。

めちゃ汚れています。
そして振り子を取り付ける振りベラが損傷・・・
大事な部分が損傷です。
それでもどっかで直したか分かりませんが、切れてしまって短くなった振りベラをそのまま付けていました。
ゼンマイをいっぱい巻いている状態でしたらこれなら動くでしょうが・・・
長時間の動作は難しい状況。

部品が損傷してしまっているので・・・
修理には時間を要しそうな雰囲気だったのはこの時に既に分かってはいましたが・・・
想像以上に大変だった。
なにせ部品がないので・・・
ないなら作る、それがARAKAWA流。
はっきり言います。
このレベルの掛け時計になると、部品なんてとっくに製造終了。
でも、ここからが私たちの腕の見せ所。
部品がなければ? 似たような部品を探して、削って、削って、また削って…それっぽく仕上げていきます。(決して雑にではなく!)
ゼンマイの具合も、もう「元気ないね…」って声かけたくなるレベル。
でも、持ち直してくれました。職人の愛と根性でゼンマイもきっと奮い立ったはずです(多分)。


とりあえずバラして掃除して、部品を調達して、修正してをやります!
今回は時間の方の機構も不具合出てて、音の鳴らす機構の方も不具合ありで・・・
本当にめっちゃ大変な修理でした。
調整が本当に難しい。
掛け時計の修理は時間がかかります。いや、ほんとに。
「まだですか?」と聞かれることもありますが…
そもそも時間を刻むモノが、時を要するというパラドックス。
掛け時計って、ゼンマイの持続時間、振り子のリズム、音のズレまで、ものすごく繊細なんです。
なので、ちょっと修理したらOK!なんて甘くない!
調整に調整を重ね、時計と心を通わせる日々。まさに“恋愛と同じくらい手がかかる”存在。
今回の修理も終わってみれば・・・
半年を要しました・・・
こんなに時間が掛かってしまっても、優しいお客様でしたので、逆にまた申し訳なくなってしまいました。
しかも少し遠くからわざわざ当店にご来店いただいたお客様だったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
📌静岡・函南のARAKAWAでは、古い掛け時計の修理も承っています
「こんなに古い時計、直るわけないよね…」
「部品がないって、昔言われたし…」
そんなお声、よくいただきます。
でも、“絶対に無理”とは言わないでください。
当店では、
✅ Meiji製・RHYTHM製・SEIKOSHA製などのアンティーク掛け時計
✅ ゼンマイ式振り子時計
✅ 古い柱時計・ボンボン時計
などなど、現代では修理できる店が少なくなった時計たちにも、しっかり向き合っています。
🧰修理士より、心からのお願いとご案内
こうした修理は、どうしても「時間」と「根気」が必要です。
状態によっては、修理完了まで数ヶ月~1年いただく場合もございます。
ご不便をおかけしますが、“一度しかない大切な時計”を、また時を刻ませるための時間として、何卒ご理解ください。
古い時計、直します。でも時間はください。
静岡のARAKAWAでは、こんな超古代兵器級の掛け時計でも、全力で修理させていただいています。
でも、何度でも言わせてください。
時間、かかります!!!
部品探して、加工して、微調整して、動作確認して…
その間にも時計は「うーんまだ寝てたい」と言わんばかりの気まぐれっぷり。
でも、こちらも負けていません。プロの意地にかけて、絶対に起こしてみせます。
📝最後にひとこと
時計は、人の人生と共に時を刻む道具です。
親から子へ。祖父母の形見。
「この音で、あの頃を思い出すんです」と、涙ぐむ方もいらっしゃいます。
もし、止まってしまったあなたの思い出の時計があるなら——
私たちARAKAWAが、もう一度動き出すお手伝いをさせてください。
時を超えて、今に蘇る。
今回のMeijiの掛け時計も、まさに“時間の化石”。
でも、そんな時計に命を吹き込むのが私たちARAKAWAの仕事です。
壊れたゼンマイ式掛け時計、あきらめる前に一度ご相談ください。
あなたのご自宅で「チクタク」と時を刻むその音、もう一度蘇らせてみませんか?
参考までになんですが、ゼンマイ式の掛け時計のオーバーホールの金額は、
税込み価格¥22,000~より承っています。
修理内容や部品調達などによって金額が変わります、その際は修理途中で連絡させていただきますので、金額が高かったらキャンセルも可能です。
当店で修理させていただいた場合で途中キャンセルの場合は料金は今現在(2025年8月)はいただいていませんので、見積だけでしたら安心してご相談いただけると思います。
*今後は手間などを考慮させていただき見積キャンセル料をいただくようになってしまうかもしれません。メーカーは見積キャンセル料が発生しますのでご了承ください。